🦎 フトアゴヒゲトカゲとは?
フトアゴヒゲトカゲ(学名:Pogona vitticeps)は、オーストラリア原産のトカゲで、温厚な性格と飼育のしやすさから、世界中で人気のあるペットとして親しまれています。体長は成体で約40〜50cmに達し、頭から尾にかけて広がる「ヒゲ」のようなウロコが特徴的です。興奮したり防御姿勢を取ると、そのヒゲ部分が黒くなって膨らむ様子から「フトアゴ(太いアゴ)」という名前が付きました。
フトアゴヒゲトカゲの生態と飼育管理
1. 生息地と自然環境
- 分布地域:オーストラリア内陸部(ノーザンテリトリー〜ビクトリア州など)
- 生息地の特徴:
- 乾燥地帯(森林~低木地~砂漠)
- 日中は岩や倒木で日光浴、夜は草木の陰に隠れる
- 夏:日中33~40℃、夜間15~24℃
- 冬:日中15~27℃、夜間3~9℃
- 湿度は非常に低く、紫外線も非常に強い
飼育へのヒント:強い日照・UV照射が必要。夜間は温度が大きく下がることに注意。
2. 食事と栄養管理
雑食性
- 野生下:昆虫や小動物+植物(果実・花・葉)=約50:50
- 飼育下:年齢によって動物性と植物性の比率を変える
成長段階別の給餌目安
- 幼体(ベビー~ヤング):
- 動物性(昆虫)中心、植物少なめ
- 1日1~2回「食べるだけ」
- 成体:
- 植物性80~90%、昆虫は20%ほど
- 2~3日に1回程度でOK
- 繁殖期のメス:
- カルシウム・タンパク質多めに
- サプリで栄養強化を
推奨される餌
- 昆虫:コオロギ、ミルワーム、デュビアローチ(カルシウムをまぶして与える)
- 野菜:小松菜、タンポポ、クローバー、ケール等の緑葉野菜
- ※ホウレンソウ・ビートグリーンは控えめに(シュウ酸が多い)
- 果物:リンゴ、バナナ、ベリー類などを少量
注意:餌虫には事前に栄養豊富な餌を与える(ガットローディング)。水分補給は湿った野菜や週数回のぬるま湯浴で促す。
3. 温度管理
日中
- バスキングスポット(直射):約40℃
- 暖ゾーン:30~35℃
- 冷ゾーン:22~25℃
夜間
- 最低:15~20℃程度
季節対応
- 冬期(南半球6~8月)は低温と短日照で「簡易冬眠(コールドトーガス)」を誘導
- 温度:20~22℃
- 照明:10時間点灯/14時間消灯
機材:バスキングランプ、セラミックヒーター、赤外線ヒーター+サーモスタットで調整 詳しく見る
4. 照明(UV)管理
- UVB(280–315nm):ビタミンD₃合成 → カルシウム吸収を助ける
- UVA(315–400nm):行動活性、摂餌、繁殖行動に影響
- 点灯時間:
- 夏:12~14時間
- 冬:10時間
- 照明機器:
- UVB蛍光管(ZooMed ReptiSun 10.0、Arcadia 12%など)
- UVA補助灯、メタルハライドランプ(UVBも含む高出力タイプ)
- バスキングランプと併用
- UVB交換目安:12ヶ月ごと(紫外線出力は時間とともに劣化)
5. 繁殖
- 繁殖期:春~夏(9~3月)
- 行動:
- オス:ヘッドボブやヒゲの変色でアピール
- メス:腕振りで反応
- 産卵:交尾から4~6週間後、1回に16~30個
- 産卵床:粘土質・砂混じりの穴(深さ20~60cm)
- 孵化管理:
- 温度:約28~30℃
- 湿度:50~70%
- 孵化まで:55~75日
6. 主な病気と対策
病名 | 原因 | 症状 | 対策 |
---|---|---|---|
代謝性骨疾患(MBD) | Ca・D3不足、UVB欠如 | 骨の変形、痙攣、脱力 | サプリ+UVBで予防。治療は獣医管理 |
腸閉塞(インパクション) | 誤食(砂床など) | 食欲低下、排便停止 | 安全な床材使用、餌サイズ管理 |
脱皮不全 | 乾燥・ビタミン不足 | 古い皮膚が残る | 湿度調整、ぬるま湯浴、栄養管理 |
外部寄生虫 | ダニなど | 痒み、脱皮不全 | 環境清掃、薬浴など |
内部寄生虫 | 線虫など | 下痢、食欲低下 | 獣医の検便と駆虫薬 |
まとめ:飼育のポイントチェックリスト
- ✅ 紫外線(UVB・UVA)をしっかり照射
- ✅ 温度勾配と昼夜の差をつける
- ✅ カルシウムとビタミンD₃補給は必須
- ✅ 安全な床材と適切な餌サイズ
- ✅ 給水・湿度・脱皮管理も忘れずに
- ✅ 繁殖や冬眠は自然に近づけて管理
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